看護師が受診相談で感じた「よくある思い込み」と安心のヒント

受診のヒント

看護師として働く中で、患者さんやご家族から「どこに受診すればいいのか」「今の病院で大丈夫なのか」といった相談を受けることがあります。相談窓口業務の経験から、相談に対してどうして欲しいのかを理解するようにしてきました。相談者さんによっては、「なんて言ったらいいのか分からない」という方やもともと欲しい回答がある方もいます。相談の裏側にある思いに耳を傾けることで、その背景には、病気や体調不良そのものだけでなく、“受診に対する思い込み”“不安”が隠れていることが多いと感じました。今回は、私が個人的に相談を受けて感じたことを書いてみようと思います。


(1) 「大きい病院ならすべて解決する?」

「クリニックに行っても意味がない」「とりあえずの薬では納得できない」と言われ、大きい病院を希望することがあります。大きい病院では紹介状が必要になったり、初診料が多くかかったり、待ち時間も発生することがあります。
でも実際には、地域のクリニックで十分対応できる症状も多く、大きい病院でもクリニックと同じ対応になる場合もあります。大病院は専門的な検査や治療が必要なときに力を発揮します。

(2) 「原因が分からない=適当に診察している?」

検査をしても原因がすぐに特定できないことは珍しくありません。
病気は“白黒はっきり”よりも、“経過を見ながら少しずつ絞り込む”ことが大切な場合もあります。

(3) 「改善しないのは藪医者だから?」

なかなか症状が良くならないと「別の病院なら治るのでは」と考え、評判の良い病院を探し歩く方もいます。
けれども医療には「すぐには結果が出ないこと」や「時間をかけて取り組むこと」も多いものです。

(4) 「1回の受診で劇的な改善を期待してしまう」

「辛いから受診しているのだし、受診すればよくなるよね」って気持ち、よくわかります。

薬をもらったらすぐに治る、と考えがちですが、実際には生活習慣の見直しや経過観察が必要なことも多いです。


辛い症状や不安を抱えて「早く治りたい」「原因を知りたい」と思うのは自然なことです。
ただ、相談を受ける中で、「医療に対するイメージのズレ」が大きな不安につながっているのでは、と感じることがよくあります。


原因がすぐに分からないときや、症状がなかなか改善しないときは、不安をそのまま抱えるよりも「先生はどんな方針で診ているのか」を聞いてみると安心につながることがあります。
「どうして経過観察なのか」「なぜこの薬が選ばれたのか」といった背景を知るだけでも、納得感が変わってくることがあるのです。


  • 大病院に行けば万能というわけではない
  • 原因が分からないのは、診察が適当だからではない
  • 改善に時間がかかるのは、必ずしも医師の力量不足ではない
  • 一度の受診ですべて解決するとは限らない

看護師として多くの相談を受ける中で、「不安の背景には、こうした思い込みがある」と感じます。

辛い症状や不安を抱えている本人が納得して診療を受けられるためにとる行動に、間違いはありません。ただ、“医療は時間をかけて向き合うもの”という理解があると、受診も少し安心して続けられるのではないでしょうか。

自己紹介
🌿 看護師歴20年以上のパトリです。 急性期病棟や外来での経験を活かし、日常に役立つ医療・健康のヒントを発信しています。 自然体で続けられるケアや、受診のヒントをお届けしています
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